技術:何を触ったかが正確に分かる人工感覚システム
Nature Communications
2023年11月15日
ツイル、コーデュロイ、ウールなどの微細な質感を人間の指に近い高分解能で認識できる人工感覚システムについて報告する論文が、Nature Communicationsに掲載される。著者らは、今回の知見がロボットや人間の義肢の微細触覚能力を改善するために役立つ可能性があり、将来的には仮想現実に応用できるかもしれないと考えている。
人間は、物体の表面に指を当ててゆっくりと滑らせて、静圧と高周波振動の両方を捉えることによって物体を識別できる。圧力などの物理的刺激を感知するための人工触覚センサーを作製する従来の方法は、実際の物体に触れて識別する能力や複数のセンサーに依存する能力が足りなかった。高い時空間分解能と感度を有するリアルタイム人工感覚システムの作製は難題となっていた。
今回、Chuan Fei Guoらは、人間の指紋の特徴を模倣したフレキシブルなすべり覚センサーについて報告している。このセンサーが物体の表面に触れたり、表面上を滑るように移動したりすると、表面性状の微細な特徴が感覚システムによって認識されるようになる。Guoらは、このセンサーを人間の義手に組み込み、機械学習も組み合わせて用いた。その結果、このセンサーは微細な触覚信号を捉えることができ、リネン、ナイロン、ポリエステル、サッカーなど20種類の繊維を最大100%の精度で識別できることが分かった。
Guoらは、今後の研究によって、ロボットのセンシング能力、人工装具を装着した患者の感覚回復、触覚を用いた仮想現実、および家電製品の改善に役立つかもしれないと考えている。
doi:10.1038/s41467-023-42722-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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