Research Press Release

神経科学:10代の若者における脳領域のサイズと喫煙行動の関連性

Nature Communications

2023年8月16日

青年期の男女の縦断的観察データに基づいた研究から、10代の若者において、脳の前頭葉領域が喫煙行動の開始と継続に関連している可能性があることが示唆された。このことを報告する論文が、Nature Communicationsに掲載される。著者らは、この脳領域が、ニコチン嗜癖の初期段階を示すバイオマーカーとなる可能性があり、その予防と治療に影響を及ぼすことになるかもしれないと述べている。

喫煙は、世界的に成人の死亡原因の第1位であり、全世界の喫煙に関連した死者数は、2030年の時点で年間800万人に達すると予測されている。これまでの研究で、喫煙の開始は、脳の発達にとって重要な時期である青年期に最も起こりやすく、毎日喫煙する人の大部分が、18歳までにニコチン依存症を発症することが示唆されていた。しかし、青年期の喫煙の開始と継続の根底にある神経機構、特に脳の発達の変調と喫煙行動との間の相互作用の可能性については、解明が進んでいない。

今回、Tianye Jiaらは、IMAGENプロジェクトに参加した807人の健康な青年男女が14歳、19歳、23歳だった時の脳画像データと質問票データを解析した。それぞれの年齢で、生涯に2回以上喫煙したことがあると自己報告した参加者は喫煙者と見なされた。Jiaらは、腹内側前頭前野という脳領域が喫煙の開始と継続に関連しているという見解を示している。今回の研究で、左の腹内側前頭前野の灰白質の容積の減少が、喫煙が開始する可能性の増加に関連していると考えられること、また、右の腹内側前頭前野の灰白質の容積の減少が、喫煙の継続に関連していると考えられることも明らかになった。Jiaらは、こうした脳領域の容積の違いは、新奇性追求や刺激追求という性格特性にも関連しているかもしれないと考えている。

doi:10.1038/s41467-023-40079-2

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度