マイクロRNAの細胞間輸送によってアテローム性動脈硬化が起こりにくくなる
Nature Cell Biology
2012年3月15日
血管を形成している2種類の細胞は、小型の非コードRNAを介して情報を伝え、アテローム性動脈硬化を起こりにくくしているらしい。アテローム性動脈硬化は、心臓発作や狭心症などの心臓の重大な問題に関連するので、この知見は治療戦略の開発に重要となりそうだ。 動脈の一部は血液の流れ方が局所的にちがうことでアテローム性動脈硬化が起こりにくくなっている。アテローム性動脈硬化に対するこうした保護機構のひとつは転写因子KLF2の活性を介するもので、KLF2は血管内表面を覆う薄い層である内皮を形成している細胞に存在している。 S Dimmelerたちは、KLF2が内皮細胞でマイクロRNAのmiR-143/145の発現を上昇させることを見いだした。血管壁を覆う平滑筋細胞と内皮細胞を一緒に培養すると、内皮細胞は「微小胞」と呼ばれる膜に包まれた小型の粒子を放出し、これに含まれているmiR-143/145が次に平滑筋細胞に取り込まれることがわかった。細胞間での微小胞を介した輸送によって、内皮細胞由来のmiR-143/145が平滑筋細胞中の遺伝子の発現を調節できるようになる。アテローム性動脈硬化のマウスモデルを使って、miR-143/145を含む微小胞を注入すると、アテローム性病変の形成が低下することが明らかになった。 この知見は、マイクロRNAの内皮細胞と平滑筋細胞の間の輸送が、アテローム性動脈硬化の治療に利用できる可能性を示唆している。
doi:10.1038/ncb2441
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