Research Press Release

環境科学:温室効果ガス排出モデルにプラスチックをどのように組み込むのか

Nature

2022年12月8日

Environmental sciences: Considering how plastics fit into emissions models

今後のプラスチックによる温室効果ガスの排出量を削減するには、プラスチックの生産においてバイオマスの使用量を増やすことやリサイクルを強化することなど、複数の対策を組み合わせる必要があることを指摘する論文が、今週、Natureに掲載される。

プラスチックは、世界の温室効果ガス排出量の4.5%の原因であり、粒子状物質の排出や大気汚染の一因となっている。プラスチックは、生産量が最も増加しているバルク材でもあり、現在の増加率が続けば、プラスチック生産量とそれに伴う二酸化炭素排出量は2050年には倍増し、2100年には3倍に達する可能性がある。

今回、Paul Stegmann、Vassilis Daioglouたちは、2100年までのプラスチック生産のための二酸化炭素排出量抑制経路(3種類)を分析し、生産から廃棄物管理までのプラスチックのライフサイクルを考慮に入れた統合モデルを作成した。第1の経路は、プラスチックの製造において原材料の一部にバイオマスを使用し、プラスチック廃棄物を埋め立てて貯蔵するというもので、長期的には負の炭素排出を実現できるが、埋め立て処分に関連した環境影響を伴い、資源の消費量が高止まりする。第2の経路は、リサイクルを重視する循環型経済的な手法だが、プラスチック製造段階でのバイオマスの使用促進が含まれていない。2050年までの炭素排出量削減が第1の経路を10%上回るが、長期的には負の炭素排出の可能性が低下する。第3の経路は、プラスチック生産におけるリサイクルとバイオマスの使用量増加を組み合わせた循環型バイオエコノミーの手法で、埋め立て処分を段階的に廃止し、プラスチック部門のエネルギー需要を低減させながら、最大の二酸化炭素排出量削減の累積を達成する。

著者たちは、この循環型バイオエコノミー戦略によって、資源の消費量を削減しながら、プラスチック部門を正味の炭素吸収源に変えることができるかもしれないという見解を示している。このシナリオを達成するには、プラスチック廃棄物の収集と分別の改善、埋め立て処分の削減、プラスチック製品の設計変更が必要になると考えられる。

doi:10.1038/s41586-022-05422-5

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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