人間行動学:赤ちゃんとの会話は21の文化で一貫している
Nature Human Behaviour
2022年7月19日
乳児に話しかけたり歌を聞かせたりする際、人々は文化を越えて一貫した方法で、自身の声を変化させていることが明らかになった。この成果を報告する論文がNature Human Behaviour に掲載される。今回の結果は、人々が乳児へ声掛けや歌の聞かせ方には、進化した共通の機能がある可能性があることを示唆している。
多くの動物種から得られた証拠によると、発話には、他者や近くにいる捕食者に注意を促す警戒音声など、明確な機能があることが分かっている。ヒトを対象とした従来の研究では、子守唄にも、親による子どもへの話しかけ方にも、乳児を落ち着かせる効果があることが報告されている。これは、そうした発話に共通の機能がある可能性を示唆しているが、文化横断的な証拠は限られている。
今回、Courtney Hiltonたちは、6大陸の21の社会におけるヒトの会話および歌の1615件の録音記録を使用して計算解析を行い、成人と乳児に対する発話で異なる音響的特性を調べた。その結果、音響的特性は、乳児に対する録音と、成人に対する録音の間で一貫して異なることが分かった。例えば、乳児に対する発話の録音は、純粋な音質であり、歌声は控えめで、音声はより高いピッチであった。研究チームが、187か国5万1065人の英語使用者(ただし、参加者の多くは英語を母国語としない)に音声記録を聞かせたところ、聞き手は、発話が乳児にいつ向けられたかについて、偶然以上の確率で正確に推定できることが判明した。
今回の結果は、ヒトの会話および歌に関する理解を深めるものでもあり、私たちが乳児に向かって発話を変化させるのは、文化を超えて一貫して広く認識されるものであり、また共通の機能を有する可能性があることを示唆している。
doi:10.1038/s41562-022-01410-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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