Research Press Release

環境:気候変動は南ヨーロッパのブナ林にとって脅威になっている

Communications Biology

2022年3月11日

Environment: Climate change poses a threat to southern European beech forests

このほど実施されたモデル化研究で、南ヨーロッパでは今後70年間にヨーロッパブナの成長量が気候変動によって20~50%減少する可能性のあることが明らかになった。この知見を報告する論文が、今週、Communications Biology に掲載される。著者たちは、そのために、森林の枯死量が増えるかもしれないと述べている。

ブナは、ヨーロッパで最も多く見られる広葉樹だ。温暖化によってブナ種が絶滅の危機に瀕する可能性のあることが最近の研究で示唆されたが、今後のヨーロッパ大陸全体における気候変動からのブナの回復力の大きさを予測することは難しい。

今回、Edurne Martinez del Castilloたちは、ヨーロッパ全土の324地点のブナの木5800本から得られた78万点以上の年輪測定値を分析して、1955年以降のブナの成長量の変化を計算した。次に、del Castilloたちは、このデータを用いて、第6期結合モデル相互比較計画(CMIP6)の2つの排出シナリオ(SSP1-2.6とSSP5-8.5)の下で、気候変動がブナの今後70年間の成長に及ぼし得る影響をモデル化した。21世紀中に排出される二酸化炭素の量は、SSP1-2.6の下では2075年ごろに正味ゼロに達し、SSP5-8.5の下では2100年までにピークに達する。del Castilloたちは、ヨーロッパのほとんどの地域で1986~2016年のブナの成長量が、1955~1985年より減少しており、それが最も著しいのが南ヨーロッパで、成長量が20%減少したことを明らかにした。これに対して、北ヨーロッパの一部の国々(デンマーク、ノルウェー、スウェーデンなど)では、成長量が最大20%増加していた。del Castilloたちのモデルでは、南ヨーロッパにおけるブナの成長量が2090年までに最大30%減少し、干ばつが定期的に発生すれば、50%以上減少する可能性があると予測されている。del Castilloたちはまた、中央ヨーロッパの山岳地帯ではブナの成長量が25%増加するかもしれないが、ヨーロッパ全体では成長量は減少すると予測している。

今回の知見は、ヨーロッパの森林に対する気温上昇の影響を緩和する長期計画を策定することの重要性を浮き彫りにしている。

doi:10.1038/s42003-022-03107-3

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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