保全:2020年のブラジルの湿地での火災で累計約1700万個体の脊椎動物が死んでいた
Scientific Reports
2021年12月17日
2020年にブラジルのパンタナル湿地で発生した火災により、累計1690万個体の脊椎動物(トカゲ類、鳥類、霊長類など)が即死した可能性があることを報告する論文が、Scientific Reports に掲載される。
世界最大の熱帯湿地であるパンタナル湿地は、2020年1~11月に発生した火災によって大きな被害を受けた。今回、Walfrido Moraes Tomas、Ronaldo Moratoたちは、焼損地域の死骸を数えることによって、こうした火災によって死亡した動物の数を推定した。Tomasたちは、火災直後に広大な湿地帯(総延長114.43キロメートル)の通路に沿って、間隔を置いて、死骸のサンプリングを行った。
Tomasたちは、302体の死骸を発見し、状態が悪かったにもかかわらず、ほとんどの死骸の動物種を特定した。次に、Tomasたちは、小型脊椎動物(体重2キログラム未満)と中型~大型脊椎動物(体重2キログラム以上)の両方について、個体数を増やして、死亡した動物の総計を推定した。
Tomasたちの推定によると、2020年1~11月にパンタナル湿地の焼損地域(3万9030平方キロメートル)で1320万6700~1881万1300個体の小型脊椎動物(トカゲ、鳥類、齧歯類など)が死亡し、69万1090~119万6570個体の中型~大型脊椎動物(有蹄類、霊長類など)が即死したとされる。Tomasたちは、火災によって合計1695万2000個体の脊椎動物が死亡したと推定している。
なお、Tomasたちは、火災で死亡したことが知られている数種の動物(ジャガー、ピューマ、バクなど)をサンプリングし損ねた可能性が高いと報告している。また、Tomasたちは、今回の推定には、火災後の生息地の消失による動物の死亡といった火災の影響が十分に反映されていない点に注意を要すると指摘している。
Tomasたちは、今回の研究は、2020年に湿地で発生した火災が、パンタナル湿地の野生生物に壊滅的な影響を与えたことと、将来の災害を防ぐことの重要性を強調していると結論付けている。
doi:10.1038/s41598-021-02844-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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