Research Press Release

環境:空気中のマイクロプラスチックが気候に及ぼす影響を評価する

Nature

2021年10月21日

Environment: Estimating the climate impacts of airborne microplastics

このほど実施されたモデル化研究で、空気中のマイクロプラスチックが、太陽放射を反射することによって、気候にわずかな冷却効果をもたらすと考えられることが示唆された。この研究結果を報告する論文が、Nature に掲載される。ただし、この論文では、プラスチックが地球環境中に蓄積され続けると、将来的にはもっと強い影響が気候に及ぶ可能性があることが指摘されている。今回の研究で、全球の気候に対する空気中のマイクロプラスチックの直接的影響が初めて算出された。

マイクロプラスチックは、最近になって大気中に広域的に出現した汚染物質で、サイズが小さく密度が低いために、風によって地球の周りを運ばれてしまう。これまでに報告された空気中のマイクロプラスチックの測定濃度は、ロンドン(英国)と北京(中国)が最も高い。大気中のエーロゾルは、太陽放射を吸収・散乱することで地球の気候の温暖化や寒冷化をもたらすことが知られている。これに対して、空気中のマイクロプラスチックの放射効果とそれに伴う地球の気候への影響は、現在のところ分かっていない。

今回、Laura Revellたちは、気候モデル化を行って、一般的に空気中に存在するマイクロプラスチックの放射効果を調べた。全般的に言えば、これらのマイクロプラスチックは主に大気の最下層で太陽放射を散乱することが判明した。これは、マイクロプラスチックが地表の気候にわずかな冷却効果をもたらす可能性があることを示唆している。ただし、Revellたちは、この冷却効果の正確な規模については、現状がデータ不足であるために、不確実な点が少なからず存在すると指摘している。Revellたちはまた、この冷却効果は、前提条件によるものの、マイクロプラスチックの温暖化効果によって、かなりの部分が相殺される場合があることを見いだした。

埋立地や環境中に蓄積されるプラスチックの量は、今後30年間で倍増すると予測されている。Revellたちは、マイクロプラスチック汚染に真剣に取り組まなければ、不適切に管理されたプラスチック廃棄物が将来の気候に影響を及ぼす可能性があり、すでに局地的に大気の温暖化や寒冷化、あるいはその両者に寄与している可能性があると警告している。

doi:10.1038/s41586-021-03864-x

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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