プラスチック:経済的なアップサイクリングで廃プラスチックを化学製品や燃料に変換する
Nature Communications
2021年8月18日
地球上に豊富に存在する遷移金属の触媒を用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)プラスチックから付加価値のある化学物質や水素燃料へのアップサイクリングが実証された。このことを報告する論文が、今週、Nature Communications に掲載される。今回の研究で、プラスチック汚染の管理に貢献する新しい持続可能な解決策が提示された。
プラスチックは、私たちの日常生活に便利さをもたらすことがあるが、増え続けるプラスチック廃棄物は、私たちの生態系に深刻なダメージを与えている。プラスチック廃棄物をなくす効率的な方法として、価値のある製品への変換(アップサイクリング)がある。しかし、現在のプラスチックのアップサイクリング手法は、高温での加熱を必要とするものが多く、この方法で得られるのは複雑な生成物混合体で、生成物の分離に多大なコストを要する。
今回、Haohong Duanたちは、地球上に豊富に存在するニッケルとコバルトをベースとした触媒を用いると、PETから付加価値のある生成物への室温での変換が促進されることを報告している。この触媒は、高いアップサイクリング活性と高い生成物選択性を実現し、生成物を簡単に分離できるようになった。Duanたちは、電気分解と生成物分離を行って、1キログラムの固体プラスチックを商業的に価値のある固体化学物質(動物飼料に一般的に使用される二ギ酸カリウムや、水素ガス燃料など)に変換した。また、Duanたちは、このアップサイクリング過程の経済的実現可能性を評価し、1トンの廃プラスチックのアップサイクリングの純収益を約350ドル(約3万8500円)と試算している。
Duanたちは、この研究結果が、プラスチック廃棄物除去のための将来的戦略としての電気化学的アップサイクリングの可能性を示すものだと結論付けている。
doi:10.1038/s41467-021-25048-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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