Research Press Release

疫学:軽症患者でのCOVID-19後遺症(long COVID)を評価する

Nature Medicine

2021年6月23日

軽症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で自宅隔離となった若年成人(16歳〜30歳)の半数以上が、最初の感染の後の6か月に、継続的な呼吸困難、味覚と嗅覚の喪失、倦怠感、集中力や記憶力の低下などの症状を経験していることが、ノルウェーのベルゲンで行われた312人の患者集団の調査で明らかになった。この報告はNature Medicine に掲載される。

COVID-19罹患後に長く続く合併症は、重症となって入院した患者では広く見られている。しかし、このlong COVIDと呼ばれている後遺症が、軽症から中等症の患者ではどの程度のものなのかは、よく分かっていなかった。

COVID-19の軽症患者の長期的な症状を調べるため、Bjørn Blombergたちは312人の患者の追跡調査を行った。これは、ノルウェーのパンデミック第一波の際のベルゲンでの全症例の82%に当たる。312人の内訳は、自宅隔離患者247人と入院患者65人で、平均年齢は46歳、51%が女性である。調査に参加した患者は2か月目と6か月目に医療機関に赴き、医師が問診を行って症状を記録した。6か月の時点で、全患者の61%で症状が継続しており、これは感染開始時の症状の重さとは関連がなかった。自宅隔離となった若年成人のうち61人(52%)では、6か月の時点で何らかの症状、すなわち味覚と嗅覚の喪失(28%)、倦怠感(21%)、呼吸困難(13%)、認知障害(13%)、記憶障害(11%)などが続いていた。

著者たちは、入院しなかった若年患者の中に、感染後半年間という長い期間にわたって、場合によっては重くなる症状に苦しむ患者がいることに懸念を示しており、またCOVID-19患者に倦怠感の持続が見られる頻度は目立って高く、インフルエンザやエプスタイン・バーウイルス単核症といった他のよくある感染症よりも高いようだと指摘している。現在進行中のパンデミック(世界的大流行)で数百万人の若者が感染していることを考えて、著者たちは、包括的な感染制御、人口全体への大規模ワクチン接種、また比較的軽い症例で見られる多様な症状についてのさらに詳しい研究の必要性について論じている。

doi:10.1038/s41591-021-01433-3

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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