Research Press Release
初期火星の低温の海洋
Nature Geoscience
2011年8月29日
古代の冷たく氷河に縁取られた海洋は、火星北部の低地に見られる異常な鉱物構造を説明できるという報告が寄せられている。
A Fairenらは気候および地球化学的モデルを用いて、北部低地の初期地殻には葉状ケイ酸塩と呼ばれる鉱物群が、同じ年代を持つ南部の高地の地殻と比べてなぜ欠乏しているかを評価した。彼らの計算は、もしこれまで提案されていたように北部低地に海洋が存在していたならば、ほとんど凍結に近い状態であったことを示している。さらに、想定された海洋底の周辺の特徴は大規模な氷河の存在と一致する。凍結に近い温度と大規模な氷河は、低地の海洋底における葉状ケイ酸塩鉱物堆積層の形成を妨げたのである。
Fairenらは、そのようなシステムにより生じた北部の低地と南部の高地との間の顕著な鉱物学的差異は、軌道観測から得られた火星の鉱物学的性質とも一致すると述べている。
doi:10.1038/ngeo1243
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
古生物学:インドで発見された化石は新属新種の古代の大蛇だったScientific Reports
-
生体力学:昆虫の翅のヒンジは筋肉によって制御されているNature
-
気候変動:気候変動に伴う経済的コストNature
-
生物学:闘争・逃走系の起源Nature
-
材料:接着剤が海洋性軟体動物種の追跡に役立つNature Communications
-
気候変動:海洋での致死的な極端低温事象の強度と頻度が高まっているNature Climate Change