Research Press Release
量子鍵配送システムに不具合
Nature Communications
2011年6月15日
量子暗号を用いた秘密通信に欠陥が見つかり、極めて安全と考えられている通信システムに、さらなる安全性向上策を実施する必要性が浮き彫りにされた。詳細を報告する論文は、今週、Nature Communicationsに掲載される。量子鍵配送システムは、安全な通信を行うための手段の1つであり、離れた場所にいる者どうしが、メッセージの暗号化と解読を行うための共通の鍵を用いて秘密通信を行える。こうしたプロトコルは、軍隊、企業、政府、そして個人による秘密情報の交換に利用可能だ。今回、Q Liuらは、量子鍵配送システムに対する完全で検知不能な盗聴攻撃を実証した。盗聴者は、他者による検知を免れつつ、秘密のキーコードの入手に成功し、量子鍵配送システムを破ったのだった。量子鍵配送システムには、さまざまな不具合があり、これを利用した攻撃が可能になっているのである。したがって、実社会で実用化するには、量子暗号の改良が必要である。
doi:10.1038/ncomms1348
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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