Research Press Release
シアン化物による防御機構は植物と昆虫でそれぞれ独自に進化した
Nature Communications
2011年4月13日
植物と昆虫が、それぞれ独自に進化して、シアン化物を防御機構に用いるようになったことがわかった。シアン化物を産生して草食動物や捕食動物を撃退することは、植物と昆虫に見られるが、同じ防御方法を使うようになった過程は、明らかになっていなかった。
今回、N B Jensenらは、ムツモンベニモンマダラ(Zygaena filipendulae)の幼生におけるシアン化物の産生について調べた。この幼生は、餌とする食用植物からシアン化物を集めることができるが、今回の研究では、この幼生が植物と同じようにシアン化グルコシドを産生するために必要な遺伝子がたった3個であることが判明した。そして、Jensenらは、植物と昆虫が、過去4億2000万年の間に独自に進化して、捕食動物に対する防御としてシアン化物を産生するために必要な同じ酵素を産生できるようになった、と結論づけている。
doi:10.1038/ncomms1271
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物学:雌のボノボは団結し、雄に対して優位性を発揮するCommunications Biology
-
量子物理学:通信インフラを活用した長距離量子通信Nature
-
人類学:カルタゴとフェニキアの間に家族的なつながりはほとんどないNature
-
気候変動:温暖化が進む世界で急激な「気温の変化」が増えているNature Communications
-
健康:高血圧の治療は認知症リスクを低減するかもしれないNature Medicine
-
気候:都市のヒートアイランド現象による気温関連死の評価Nature Climate Change