Research Press Release
【材料科学】ヒマワリに着想を得た光の方向を向く材料
Nature Nanotechnology
2019年11月5日
完全に光線の方向を向くことのできる材料について報告する論文が掲載される。この材料は、茎のような小さい円柱形状に作られており、ヒマワリが太陽を追うように光線を追うことができる。
屈光性は、生物が栄養獲得や繁殖の目的で光源を追うことであり、自然界で広く観察される。しかし、人工的な屈光性材料を実現することは、材料の組成と特性の適切なバランスを見いだすことが難しいため、困難であった。
今回Ximin Heらは、光を効率よく吸収して熱に変換できる光応答性ナノ材料と、加熱すると収縮する熱応答性ポリマーを組み合わせた材料を作製し、この材料を小さな円柱状に成形した。この円柱に側方から光を照射すると、光源側の面だけが光を吸収して温度が上昇する。すると高温になった照射箇所が収縮するので、円柱が光線の方向に向かって曲がる。円柱の上部が光線の方向と一致するまで曲がると、屈曲部の下側の箇所は影になって温度が下がるため膨張し、円柱の動きが止まる。こうした仕組みで、円柱は広い方向にわたって光線を連続的に追跡できる。
円柱は自発的に曲がって先端部の受光量を最大にするため、Heらは、今回の研究結果を用いることで集光材料の効率を向上できると示唆している。
doi:10.1038/s41565-019-0562-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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