【地球科学】交通信号方式によって前震と余震を分類する
Nature
2019年10月10日
地震発生後にそれよりも規模の大きな地震事象が発生する確率を示すために使用できる単純な交通信号方式の分類システムについて報告する論文が掲載される。このシステムは、地震後の対応を管理する上で役立つ可能性がある。
大きな地震の後には余震が発生することが多いが、その予測は難しく、その規模が最初の地震よりも大きくなることもある。現在のところ、発生した地震が本震だったのか、それとも前震に過ぎず、もっと規模の大きな地震がこれから起こるのかを判断するのは難しい。
今回、Laura GuliaとStefan Wiemerは、イタリアの2016年アマトリーチェ-ノルチャ地震系列と日本の2016年熊本地震系列における余震の平均規模分布(「b値」)の解析を行った。b値は、ほとんどのマグニチュード6以上の地震の余震系列で上昇する傾向を示す。b値が大きいということは、小さい地震の発生頻度が大きい地震より高いことを意味している。ところが、今回の研究では、上記のイタリアと日本の地震で初震後にb値が低下したことが確認された。いずれの場合も初震より大規模な地震が発生しており、最初の地震は前震だった。GuliaとWiemerは、b値が、初震の後にそれよりも大きな地震が発生することを示す指標になり得るという見解を示し、b値の変化を基にして、リアルタイムで余震の脅威を交通信号方式によって分類する方法を提案している。このシステムを過去のマグニチュード6超の地震系列(58例)に当てはめたところ、余震か本震かを95%の精度で判定できた。
GuliaとWiemerは、今回の研究の意味を十分に理解するためには、世界中での地震監視に関する研究と投資を増強することが必要だと強調している。
doi:10.1038/s41586-019-1606-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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