Research Press Release
放射性崩壊による地球の熱流量
Nature Geoscience
2011年7月18日
惑星内部の放射性同位元素の崩壊により生成される熱は、地球から宇宙へ放射される熱流量の約半分を占めているとの報告が寄せられている。この発見は、地球が形成された後に残った始原的な熱の供給はいまだ使い果たされていないことを示唆している。
東北大学の清水格たちは、KamLAND共同研究の一環で日本に置かれた検出器で地球ニュートリノ(電気的に中性の粒子で同位体の放射性崩壊の際に放出され、地球内部をほとんど影響を受けずに通過することができる)流量を測定した。研究者は、ウラニウム-238とトリウム-232の放射性崩壊は、併せて地球から外向きに出て行く熱流量のうちの20テラワットに寄与していることを見いだした。この値は外向きに出て行く熱の約半分に過ぎず、残りの熱流量は地球誕生以来冷え続けていることが原因であることを示唆している。
doi:10.1038/ngeo1205
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
古生物学:インドで発見された化石は新属新種の古代の大蛇だったScientific Reports
-
生体力学:昆虫の翅のヒンジは筋肉によって制御されているNature
-
気候変動:気候変動に伴う経済的コストNature
-
生物学:闘争・逃走系の起源Nature
-
材料:接着剤が海洋性軟体動物種の追跡に役立つNature Communications
-
気候変動:海洋での致死的な極端低温事象の強度と頻度が高まっているNature Climate Change