【農業】気候変動によって世界のバナナ収穫量が減少する可能性
Nature Climate Change
2019年9月3日
Agriculture: Climate change may take a bite out of global banana yields
バナナの収穫量は、地球温暖化のために1960年代以降増加しているが、この傾向が今後数十年間に逆転する可能性があることを示唆する研究結果について報告する論文が、今週掲載される。バナナは世界の貿易と食料安全保障に重要な役割を果たしているため、温暖化によって最も大きな損失を被るバナナ栽培国を特定することは重要だ。
デザートバナナは、プランテンや他の料理用品種とは異なり、一般に生食され、世界で最も重要な作物の1つとなっている。バナナは、多くの熱帯の国々の主食で、主要な輸出品である。しかし、バナナの収穫量に関する国レベルのデータが少ないため、デザートバナナの栽培条件が気候変動の影響をどのように受けているのかを突き止めることは難しい。
今回、Varun VarmaとDaniel Bebberは、27か国のバナナ収穫量のデータをまとめ、収穫量を最適化する年間気温条件と年間降水量条件を計算した。そして、収穫量が1960年代以降に全球平均でヘクタール当たり1.37トン増加し、27か国中21か国で1960年代以降の気温の変化によって栽培条件が改善されたという推定結果が示され、こうしたプラスの作用の大部分が2050年には小さくなり、場合によってはマイナスに転じると予測された。また、世界第4位のバナナ生産国であるブラジルとバナナの主要輸出国であるコロンビアなどが最大の被害を受ける可能性があり、その一方で、アフリカ、エクアドル、ホンジュラスのバナナ作物が将来的な気温変化の恩恵を最も大きく受ける可能性が高いとされた。
doi:10.1038/s41558-019-0559-9
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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