Research Press Release

米国の地下水源は過度に利用されているのだろうか

Nature Sustainability

2019年7月23日

米国における地下水掘削の最近の傾向は行き過ぎていて、持続可能でないかもしれないとする報告が、今週掲載される。今回の研究により、この重要な資源が、どの程度過度に利用されるかについての包括的な見方がもたらされた。

地下水井戸は全米各地の帯水層を利用しているが、帯水層のサイズ、形状、容量は著しく多様であり、飲用、農業用、工業用に使われる水を地下水井戸が供給する割合が増えている。長い時間をかけて掘削されてきた地下水井戸の数、位置、深さに関するデータが不十分なため、人々が地下水枯渇にどのように対応するかについてはほとんど分かっていない。

今回D PerroneとS Jasechkoは、米国中の約1200万か所の井戸に関する州レベルのデータを集めて、全米の地下水井戸のデータベースを初めて作成した。その結果、すでに地下水が減少している地域では地下水がより深く掘削されていること、また、農業用の井戸は生活用や飲用の井戸よりも深く掘削されているのが多いことが見いだされた。著者たちは、カリフォルニア州のセントラル・バレーの帯水層系の掘削サイトの89%、ミシシッピ川下流域のミシシッピ湾状地域の帯水層系の掘削サイトの73%において、井戸がかなり深くなっていて地下水位が低下する徴候が見られることを示している。彼らは、より深い地下水井戸の掘削は、水資源の利用可能性を高めるその場しのぎの策であり、長期的に持続可能でないと主張している。

doi:10.1038/s41893-019-0325-z

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度