瞑想アプリを毎日使うと集中力と記憶力が改善するかもしれない
Nature Human Behaviour
2019年6月4日
循環型のアプリを使った数分間の瞑想トレーニングを6週間にわたって毎日行うことで、健康な若年成人の注意持続時間が改善されることを明らかにした小規模研究について報告する論文が、今週掲載される。
近年の研究から、メディアやテクノロジーによるマルチタスキングが若年成人の注意力に影響を及ぼす可能性があることが明らかになっており、意思決定、記憶力、感情コントロールへの影響が懸念されている。集中力を高めるための既存の取り組みによる成果は限定的だ。
今回David Zieglerたちの研究グループは、瞑想トレーニング用アプリを開発し、18~35歳のユーザー22人を対象に、毎日数分間、6週間にわたって使用してもらった。対照群として、無関係な瞑想アプリを同期間使用した若年成人20人の観察も行った。開発されたアプリは、ユーザーに対し、注意力散漫であることを意識しつつも自分の呼吸に集中するよう伝える。そして、注意力が散漫であるというユーザーからの自己報告に基づいて、その後の集中試験の継続時間が調整される。
その結果、アプリ使用者は、自身の呼吸に集中する能力が改善し、その継続時間は、1日当たり平均20秒から、30日目には6分間になった。6週間のトライアル後1~2週間にわたって実施された注意力保持および作業記憶に関する別の試験でも、効果は継続していた。これらの改善は、脳波(EEG)で測定した脳活動にも反映されていた。一方、対照群ではそうした改善は見られなかった。
Zieglerたちは、今回の論文で報告された効果が、健常若年成人以外でも広く認められるか、またトレーニング後1~2週間を超えて持続するかを見極めるためには、より大規模な研究でさらに調べる必要があると考えている。
doi:10.1038/s41562-019-0611-9
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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