Research Press Release
鉄を挟んだ化合物を用いた太陽電池
Nature Chemistry
2011年1月31日
色素増感太陽電池の高効率電解質として、フェロセンという鉄を挟んだ化合物を利用できることが、Nature Chemistryの論文で報告されている。フェロセンは、構造を調節して効率を向上できるという点で、ほかの電解質より優れている。
太陽光を色素で吸収する色素増感太陽電池の技術は、20年前から存在している。電解質として使われる化学物質の種類を少しずつ調整することによって性能向上が試みられてきたが、性能は頭打ちになっている。今回、L Spiccia、U Bachらは、従来のヨウ化物電解質をフェロセン系電解質に置き換えることにより、ヨウ化物に近い効率を示す太陽電池を作製した。フェロセンの大きなメリットの1つは構造を容易に変えられることであり、これにより効率を向上できると研究チームは予想している。
これまで電解質として金属化合物を使う試みがなされてきたが、性能は向上せず、それらの金属化合物の多くは太陽電池を腐食させた。フェロセン電解質は、電池を腐食させず、その性質は十分理解されている。
doi:10.1038/nchem.966
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
古生物学:アンモライト宝石が鮮やかな色を得る仕組みScientific Reports
-
古生物学:小さなティラノサウルスの謎Nature
-
生物学:新しい抗毒素が蛇咬傷から守るNature
-
気候変動:南極の棚氷が海洋温暖化によって脅威にさらされているNature
-
細胞生物学:ホッキョククジラの長寿の謎が解明されるNature
-
惑星科学:圧力下で水の世界が形成されるかもしれないNature
