Research Press Release
【惑星科学】系外惑星KELT-9bの大気中に鉄が検出された
Nature
2018年8月16日
系外惑星KELT-9bの大気中に鉄とチタンが検出されたことを報告する論文が、今週掲載される。
KELT-9bは、恒星と太陽系外巨大ガス惑星の間の移行部に位置付けられる超高温の木星型惑星の1つで、雲のない大気を有していると予想されている。鉄は、最も豊富に存在する遷移金属だが、融点が非常に高いため、太陽系外惑星の大気中で直接観測されたことがない。ところが、高温の大気中では、鉄と数種類の遷移金属が分子や雲粒子に隔離されず、原子状態でのみ存在する。そのため、KELT-9bのスペクトル観測において、可視域の波長で鉄のスペクトル線が検出されると予想されていた。
Jens Hoeijmakers、Kevin Hengたちの研究グループは、2017年7月31日から8月1日にかけての夜間にスペイン領カナリア諸島のラ・パルマ島にある国立ガリレオ望遠鏡に設置されたHARPS-N分光器を用い、KELT-9bの高分解能透過スペクトルにおいて金属のスペクトル線を探索した。この研究グループは、KELT-9bが親星の前面を通過する時に得たデータを解析し、中性の鉄原子(Fe)と一価にイオン化した鉄(Fe+)と一価にイオン化したチタン(Ti+)を検出した。また、Fe+のスペクトル線の方がFeのスペクトル線よりも明瞭で、大気温度が約4000ケルビンを超えていることが示唆されている。
doi:10.1038/s41586-018-0401-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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