Research Press Release

【生態学】熱帯地方での回復不能な生物多様性の減少を避けるために今すぐ行動を

Nature

2018年7月26日

土地利用の変化、環境汚染、気候変動といった局所的・全球的ストレス因子に対する熱帯生態系の脆弱性の評価結果が、今週号のReviewで示されている。今すぐに断固たる態度で行動を取れなければ、熱帯地方において、かつてない規模で回復不可能な生物多様性の減少が起こるリスクが大幅に増加する、と著者は警告している。

今回、Jos Barlowたちは、全世界の生物種の78%以上が熱帯地方の陸上生態系、淡水生態系、および海洋生態系に存在し、そこには浅海域のサンゴ礁のほぼ全てと陸生鳥類の90%以上が含まれていることを報告している。それにもかかわらず、熱帯生態系は、系内全域に蔓延した相互作用性ストレス因子(森林伐採、魚類の乱獲、気候変動など)にさらされている。Barlowたちは、これらのストレス因子の影響とさまざまな社会経済的要因(人口増加、グローバル化、ガバナンスの弱さ、不十分な研究能力など)との相互作用を検討し、熱帯の生物多様性の崩壊を阻止するためには各地域、各国、国際レベルでの協調行動が緊急に必要となっていると結論付けている。

このReviewは、今週号のNatureに掲載される熱帯をテーマとして特集したInsightに含まれている。このInsightでは、熱帯に関するさまざまな科学的課題と社会的課題、そしてそれらについて検討したいくつかの解決策(蚊が媒介する疾患と非感染性疾患に取り組む活動、非人為的な気候変化と熱帯林の炭素循環の分析など)が紹介されている。

doi:10.1038/d41586-018-05770-1

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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