【考古学】中国で最古のヒト族の存在を示す証拠となるか
Nature
2018年7月12日
代決定したことを報告する論文が、今週掲載される。この研究知見は、これまで考えられていたよりも前からアフリカ以外の地域にヒト族が存在していた可能性を示唆している。
アフリカ以外の地域にヒト族が存在していたことを示す最古の証拠は、ドマニシ(ジョージア)で見つかったホモ・エレクトス(Homo erectus)の骨と道具で、185万年前のものだった。この他にも初期ヒト族の化石が中国とジャワ島(インドネシア)で見つかっており、170~150万年前のものとされている。しかし、200万年前よりも昔にヒト族が活動していたことを示す証拠がある、とする主張も度々なされている。
今回のZhaoya Zhuたちの論文によれば、打ち砕いて加工された石82点と加工されていない石14点が中国黄土高原のShangchenで発見され、更新世前期のものと特定された。これらの石には、石核、剥片、スクレイパー(削器)、ポイント(尖頭器)、ボーラー(穴あけ器)、ピック(尖った部分を持つ石器)が含まれており、初期の道具の証拠であることが示唆されている。また、Zhuたちは、衝撃によって損傷したハンマーストーン2個も見つけた。この遺跡の周辺での発掘調査では、石核器と剥片器と共にシカの下顎骨片が見つかった他、ウシ科動物(偶蹄類の反芻哺乳動物)などの化石骨片も見つかっている。
Zhuたちは、これらの連続した地層群には人工遺物を含む層が17層あることを明らかにしている。石器は、主として温暖湿潤な気候で形成された11層で見つかったのに対し、人工遺物が発見されたのは黄土層の6層だけだった。黄土はシルト大の細粒性の堆積物で、風で運ばれた塵が蓄積して形成されることから、より寒冷で乾燥した気候であったことが示唆される。Zhuたちは、上記のパターンがタジキスタンで発見された類似の人工遺物を含む地層群と一致しているという見解を示している。さらに、Zhuたちは、この17層が85万年という長い期間をかけて形成されたものであることを指摘し、ヒト族は210~130万年前の中国黄土高原に、必ずしも継続的でないにせよ、何度も繰り返し生活していた可能性があると述べている。
doi:10.1038/s41586-018-0299-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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