【心理学】ステータス感の高い商品を好む傾向とテストステロンの関係
Nature Communications
2018年7月4日
ホルモンの一種であるテストステロンの単回投与によって、男性が、同じ品質の製品の中からステータス感の高いブランドを選び出す傾向が顕著になることが243人の男性を対象とした研究によって明らかになったことを報告する論文が、今週掲載される。
今回のGideon Naveたちの研究は、繁殖期に数多くの動物種の雄のテストステロン濃度が上昇するという事実から着想を得た。テストステロン存在下では、雄によるステータス(地位)の誇示(鳥類の求愛のさえずりや、雄ジカの枝角の成長など)が顕著になると考えられている。
Naveたちは、ヒトの場合でもテストステロンがステータスの誇示を促進する可能性があると推論して、243人の男性被験者(18~55歳)に対し、そのほぼ半数にはゲル状のテストステロンを、残りには不活性なプラセボゲルを投与した。次に、品質は同等だと感じられるが、ステータス感の異なるさまざまなブランド品(例えばジーンズ)を2点1組で被験者に示し、いずれのブランド品を好むか答えさせた。
その結果、テストステロンを投与された男性は、ステータス感の低いブランド品よりも高いブランド品を選ぶ傾向が強かった。このテストステロンの影響は、ステータスを高める商品だという広告のテキストをつけてブランド品を提示した時に特に大きくなった。
Naveたちは、今後の研究の方向性として、今回の研究で得られた知見を他のヒト集団でも再現することを挙げている。
doi:10.1038/s41467-018-04923-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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