【天体物理学】オウムアムアは葉巻形の彗星だった
Nature
2018年6月28日
オウムアムアという葉巻型の天体は、2017年に発見され、太陽系外から飛来した天体であることが初めて確認されたが、この天体は結局のところ彗星だったとする研究が、今週発表される。この移動する天体を巡っては論争が持ち上がっており、発見当初は彗星に分類されたが、その後は小惑星とされ、最終的には「恒星間天体」という新たな区分に属する最初の天体とされていた。
オウムアムアは、2017年10月19日に米国ハワイ州のハレアカラ観測所が初めて発見した暗赤色の天体で、起源は分かっていない。この天体は、全長が約800メートルの極端な楕円形で、自転運動がふらついており、太陽系内に入ってからは太陽に拘束されない双曲線軌道上を移動していた。オウムアムアの表面は彗星の核に似ているが、彗星が昇華して形成される「コマ」(星雲状のガスや塵)は観測されず、恒星の近くを通過する際にガスの放出も観測されなかった。
今回、Marco Micheliたちの研究グループは、太陽系内を移動するオウムアムアの運動に関して、地上からと宇宙空間での観測の結果を検討した。その結果、オウムアムアの軌道弧が太陽や惑星、大型小惑星の重力だけでは説明できないことが明らかになり、オウムアムアを主に太陽から離れる方向に誘導する加速度の一部が重力以外の力によると推定された。このようなオウムアムアの運動は、彗星から放出されるガスによって推進される彗星の挙動と一致している。また、Micheliたちのモデルでは、この非重力運動を説明できる可能性のある他の要因(太陽の輻射圧、太陽風との磁気相互作用など)も否定されている。
doi:10.1038/s41586-018-0254-4
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