Research Press Release
知能と神経症傾向に関連する遺伝子が新たに見つかる
Nature Genetics
2018年6月26日
2つの研究により、知能と神経症傾向に関連する遺伝的座位が新たに数百か所も同定され、認知機能の理解が大いに深まった。
Danielle Posthumaたちの研究グループは、25万人以上についての遺伝的データと知能の測定値を解析した。その結果、ゲノム上の知能に関連する207の座位(うち190が新規)、および知能に関連する特異的な1016の遺伝子(うち939が新規)が見つかった。Posthumaたちは、今回の解析結果に基づいて、知能が高い場合にアルツハイマー病とADHDに対する防御効果が認められるという考えを示している。また、Posthumaたちは、神経系の発達とシナプス構造に関連する遺伝的経路も同定した。
Posthumaたちは、もう1つの研究で、うつ病と統合失調症の重要なリスク因子である神経症傾向について調べた。この研究では、約50万人について解析が行われ、神経症傾向に関連する500以上の遺伝子が同定された。Posthumaたちは、神経症傾向の遺伝的サブクラスターが2種類あり、1つがうつ気分、もう1つが不安感に関連していると説明している。
これら2つの研究が相まって、認知の神経生物学的性質と遺伝学的性質に関する新たな手掛かりをもたらしている。Posthumaたちは、今回の研究で得られたデータセットが今後の神経精神疾患の研究に役立つと考えている。
doi:10.1038/s41588-018-0152-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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