Research Press Release

太陽極小期における北ヨーロッパの寒い冬

Nature Geoscience

2011年10月10日

11年太陽周期の下降局面において太陽紫外線放射が減少することは、北半球の気候をヨーロッパ北部と米国で冷たい冬へと少しずつ動かしているとの報告が寄せられている。周期にわたり太陽紫外線放射の振幅が(最近の人工衛星観測から推測されるように)これまで考えられていたよりも4〜6倍大きいならば、予測される太陽UV放射の変化は10年後の気候予測に役立つ可能性がある。

S Inesonらは、太陽極大期と極小期との間の太陽UV放射の差を2004年から2007年に行われた人工衛星測定により見積もった。彼らはこの見積もりを用いて、この大きさの太陽UV放射変化に対する気候応答を気候モデルによりシミュレーションした。シミュレ−ション結果は、太陽極小期の間は北半球の気候はカナダと南ヨーロッパでは穏やかな冬の状態へ、北ヨーロッパと米国では寒い冬へと変化することを示唆しており、これは太陽活動が低下していた2009年と2011年の間に大西洋周辺で見られた冬季の気象と一致している。 News &ViewsでK Matthesは次のように述べている。「Inesonらの研究は、北半球の冬季における10年周期の地表の気候が11年太陽周期により強く影響を受けていることを示唆している。しかし、この発見は長期間にわたるSIM(分光放射照度モニター)測定により、太陽紫外線放射変化の大きな振幅に対する確証が得られる必要がある」。

doi:10.1038/ngeo1282

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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