Research Press Release
複数にわたるグレートバリアリーフの移動
Nature Geoscience
2018年5月29日
過去3万年の大きな海水面変動に伴って、グレートバリアリーフは海底で前進と後進を繰り返し移動していることを報告する論文が、今週掲載される。
海水面は、過去3万年にわたって、大陸氷床の拡大・縮小とともに劇的に変化してきた。約2万1000年前の最終氷期極大期には、海水面は現在よりも約120メートル低かった。
Jody Websterたちは、現在のグレートバリアリーフの近くで採集された掘削コアを調べ、サンゴ礁群が過去の海水面変動にどのように応答したかを評価した。その結果、サンゴ礁の死滅事象は過去に5回あり、うち2回は海水面が降下したときにサンゴ礁が露出したことが、3回は海水面がサンゴが成長する速度よりも速く上昇したことが原因だと判明した。最後にサンゴが死滅したのは1万年前で、堆積物が急激に流入したことで起こり、その結果、サンゴ礁が現在の場所に定着した。Websterたちはまた、サンゴ礁は、それぞれの事象の後の数百~数千年以内に、より生息に適した深さで再定着できたことを見いだした。このことから、サンゴ礁の長期のレジリエンスは、移動して再生息した場所の周囲のサンゴ礁との連携により支持されていたと考えられる。
doi:10.1038/s41561-018-0127-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
化石:最も古く知られている「爬虫類」の足跡Nature
-
惑星科学:月内部の非対称性を示す証拠Nature
-
古生物学:「シカゴ」始祖鳥が、この古代鳥に新たな知見をもたらすNature
-
理論物理学:二体問題を解くNature
-
がん:乳がん治療薬の臨床試験で生存率の向上が示されたものの、がんの消失は限定的であったNature Communications
-
Nature Scientist at Work コンペティションの受賞者の発表Nature