【化石】年代が最も新しいハラミヤ目の化石が北米で見つかる
Nature
2018年5月24日
北米で生息していたハラミヤ目(初期哺乳類の分類群の1つ)の白亜紀の完全な頭蓋骨の化石について報告する論文が、今週掲載される。この頭蓋骨化石は、1億3900万年~1億2400万年前のものと決定され、ハラミヤ目の化石標本としては年代が最も新しく、この動物種がパンゲア超大陸の分裂後に北半球の大陸で存続していたことが示唆されている。
ハラミヤ目は謎めいた哺乳類分類群で、三畳紀からジュラ紀初期のものが知られている。ハラミヤ目は長い間、歯の化石のみから知られる動物種であったが、後に軟組織を含む全身が完全に保存された化石標本が中国で発見された。ハラミヤ目の一部は滑空哺乳類で、現在のムササビに似ている。ハラミヤ目とその他の哺乳類との関係、すなわち、ハラミヤ目は繁栄した齧歯類類似の多丘歯類の近縁種だったのか、それよりはるかに原始的な哺乳類だったのかについては、これまで盛んに議論されてきた。
今回Adam Huttenlockerたちの研究グループは、アンドリューズサイト採石場(米国ユタ州)において白亜紀前期層から発見されたハラミヤ目の頭蓋骨化石について報告している。この化石は、ハラミヤ目の新属新種Cifelliodon wahkarmoosuchの根拠になっている。Huttenlockerたちは、ハラミヤ目に関する共通の理解における大きな形態学的・時空間的欠落部分がこの化石標本によって埋まることを明らかにしている。また、この頭蓋骨の分析では、さらに謎深い哺乳類分類群Hahnodontが、一般に理解されていた多丘歯類ではなく、実はハラミヤ目であったことが判明した。
doi:10.1038/s41586-018-0126-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
ヒトの進化:ヒト族がジャイアントハイエナと動物の死骸の食べ残しを争ったことを示す先史時代のシミュレーションScientific Reports
-
農業:窒素肥料の使用量の世界的分布を見直して穀物生産を守るCommunications Earth & Environment
-
遺伝学:イエメンのコレラ流行において抗生物質耐性を促進した遺伝子を追跡Nature Microbiology
-
素粒子物理学:反物質は普通の物質と同じように落下するNature
-
気候科学:気候の温暖化による強い熱帯低気圧の発生時期の早期化Nature
-
古生物学:三葉虫は何を食べていたのかNature