Research Press Release
【進化】RNAウイルスの進化
Nature
2018年4月5日
脊椎動物のRNAウイルスは、地質学的な時間スケールを超えて宿主と共に進化してきたことを報告する論文が、今週掲載される。今回の研究は、RNAウイルスの多様性に関する我々の理解を深めるものであり、RNAウイルスの進化史に新たな手掛かりをもたらしている。
RNAウイルスは、脊椎動物の多くの注目すべき疾患(例えば、インフルエンザ、C型肝炎、エボラウイルス感染症)を引き起こす多様なウイルス群だが、これまでのRNAウイルス研究の重点は、哺乳類と鳥類のRNAウイルスにあった。今回、Yong-Zhen Zhangたちの研究グループは、魚類、爬虫類、および両生類のRNAウイルスを調査した。この論文では、約200種のRNAウイルスが新たに説明されており、哺乳類と鳥類に感染することが知られている脊椎動物特異的なウイルスのファミリー(インフルエンザウイルス、フィロウイルス、ハンタウイルスなど)が両生類、爬虫類、および魚類にも存在していることが明らかにされている。
Zhangたちは、脊椎動物のRNAウイルスの進化史はその宿主の進化史とほぼ一致しており、これらのRNAウイルスの進化が数億年前に始まったことが示唆されると結論付けている。
doi:10.1038/s41586-018-0012-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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