Research Press Release
変動する気候と土地利用による影響を受けやすい土壌のバイオクラスト
Nature Geoscience
2018年2月27日
現在1800万平方キロメートル(地球上の陸地表面の12%に相当)に及ぶ、藻類、地衣、苔などの生物で表面が覆われた地域が、気候変動と土地利用の変化によって2070年までに25~40%減少する可能性があることを報告する論文が、今週掲載される。
土壌中の藻類、地衣などが形成したクラスト(biological soil crust;バイオクラストとも呼ばれる)は、水分の土壌内部への移動を制御する土壌表面の生物群集であり、拡大することで栄養素循環と地域的な生物多様性に影響を及ぼす。こうした外皮は、土壌表面を安定させて、塵の発生を抑制している。バイオクラストは、主に、それらを打ち負かす大型植物が存在しない乾燥地域で見られる。
Emilio Rodriguez-Caballeroたちは、これまでに発表されたバイオクラストに関する研究を500件以上調べ、ある地域が他の地域よりもバイオクラストの形成に適した地域となるための18個の異なった要因を明らかにした。この分類を気候と土地利用の予想に組み合わせることで、バイオクラストの成長に適した土地の利用可能性がさらに減少すると推測している。また、彼らは得られた結果を異なるモデルによって検証して、バイオクラストにより覆われた地域が、2070年までに最大40%減少することを見つけた。
doi:10.1038/s41561-018-0072-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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