【天文学】思いがけなく撮影された、生まれたばかりの超新星
Nature
2018年2月22日
アマチュア天文家が新しいカメラを試験していた時に思いがけなく撮影した新しい超新星の誕生に関する研究報告が、今週掲載される。この偶発的な天体観測は、爆発した恒星の特性を学ぶチャンスとなり、超新星の進化に関する新たな知見をもたらした。
新しい超新星の誕生に伴う急激な増光は、爆発した恒星に関する進化の最終段階と構造の情報となり得る。ところが、星が爆発する寸前にあることを予測するのは難しく、短期間の「ショックブレイクアウト」期は検出できずにいる。大部分の超新星は、爆発後に観測されており、爆発からどれくらいの時間が経過しているのかは分からない。
2016年9月20日、アマチュア天文家がVictor Busoが新しいカメラを望遠鏡に取り付けて試験していた。その望遠鏡は、渦巻銀河NGC 613に向けて固定されており、その時、超新星が誕生した。それから1日もたたないうちにMelina Berstenたちの研究グループが、この超新星の大掛かりなモニタリングを実施し、この超新星の進化を調べた。この爆発する恒星が発する光の明るさは非常に急激に増したが、これが長い間追究されていたショックブレイクアウト期に対応するシグナルだとBerstenたちは考えている。
Berstenたちはこの爆発をIIb型超新星と分類しており、彼らの分析によると、前駆天体の質量は、研究の進んだもう1つのIIb型超新星SN 2011dhの前駆天体よりやや多いことが示唆されている。また、Berstenたちは、今回の発見によるデータに基づいてモデルを作成し、それぞれ異なる物理過程によって制御される超新星の進化の各段階を明らかにした。Berstenたちは、ショックブレイクアウト期のシグナルの解析をさらに進めることで、前駆天体の構造とショックの発生時に生じる物理過程に関する詳しい情報が得られる可能性があると結論付けている。
doi:10.1038/nature25151
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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