【古生物学】約1億年前に二足走行していたトカゲ
Scientific Reports
2018年2月16日
早くも1億1000万年前には二足走行していたと考えられるトカゲについて明らかにした論文が、今週掲載される。
多くの現生トカゲ類は陸上で二足走行できるが、後足だけで走る能力が進化上のどの時点で発達したのかは分かっていない。この論文で、Hang-Jae Leeたちは、トカゲの二足走行の初めての直接的証拠となる化石について説明している。アプチアン期からアルビアン期初期(1億2500万~1億年前)と年代決定されたHasandong層(韓国)で発見された4点のトカゲの足跡(足跡化石)だ。Leeたちは、これをSauripes hadongensisの足跡と同定した。この一連の足跡化石は、世界で最古のクラウン群トカゲ類のものだが、具体的にどのトカゲ種の足跡なのかは分かっておらず、Leeたちは、絶滅したイグアナ類の足跡だとする仮説を示している。
足跡化石の保存状態は非常に良好で、今回の研究でトカゲの足の解剖学的特徴を詳しく調べることができた。これらの化石から、足の跡(25か所)とそれより短い手の跡(4か所)が見つかっており、足の跡は、典型的なトカゲの足の形態を示しており、湾曲した指は、足の内側から外側に向かって順に長くなっていた。また、手の跡は、第3指が他の4本の指より長いことを示していた。
二足走行が通常生じるのは、前肢より後肢の方が長いトカゲが加速して走行速度に達し、四足歩行から二足歩行に変わる時である。今回の足跡化石に残されていたのは、ほとんどが足の跡であり、四足歩行パターンよりも二足歩行パターンと一致している。また、この足の跡には、歩幅が大きくなっていることの証拠と指先歩きの跡が示されており、この足跡を残したトカゲがつま先で走っていたことが示唆されている。これらの点に加えて、足跡の幅が狭いこと(トカゲが二足歩行の姿勢をとるようになった時に後足がまっすぐになり、2本の後足の間が狭くなったことを示す証拠)を合わせて考えると、この足跡が2本の後足で走るトカゲのものであることが示されており、トカゲの二足歩行は、その進化史の初期に起こったことが示唆されている。
doi:10.1038/s41598-018-20809-z
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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