Research Press Release
地球温暖化による北半球中緯度風力エネルギー資源の減少
Nature Geoscience
2017年12月12日
電気に変換できる風力量(炭素放出を減少させるために重要)は、気候が温暖化するにつれて北半球中緯度では減少すると予測されている。今週掲載される論文では、特に米国中央部、イギリスとアイルランド、中東北部、および極東アジア中央部と北部において、このことが顕著に影響を及ぼすことが示唆されている。だが、エネルギーに変換できる風力は、熱帯および南半球地域では高放出シナリオの下では確実に増加するとしている。
風力発電所のエネルギー生成能力は、化石燃料へのエネルギー依存を減少させるという戦略により全球で急速に増大している。しかし、地域的な研究は風力エネルギー資源(タービンを用いてエネルギーに変換可能な風力量)は、気候変動により変動し得ることを示唆している。
Kristopher Karnauskasたちは、全球気候モデルシミュレーションと産業用風力発電タービン曲線とを組み合わせて、予想される気候変動が将来の風力発電能力に及ぼす影響を求めた。彼らは、例えば北米中央部で平均した風力発電量は放出シナリオによって、2050年までに8~10%、2100年までに14~18%減少すると予想されることを見いだした。この風力発電量の減少は北極域の急速な温暖化により説明することができるが、それは最終的に嵐の強度を決める北極域と熱帯地域との間の温度差を減少させるからである。
doi:10.1038/s41561-017-0029-9
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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