Research Press Release
【材料科学】ハエトリソウを模倣した把持装置
Nature Communications
2017年5月24日
ハエトリソウのように物体を感知し、捕らえることのできる軟質の把持装置について記述された論文が、今週掲載される。このように物体の特定ができる簡便なソフトロボットは、繊細な物体を取り扱う自律ロボットとして最適なものとなる可能性がある。
ソフトロボットは、安全で人に優しい接触のできるロボットとして有望視されているが、その自動化が難題だった。この問題に取り組む1つの方法は、光刺激に応じて形状を変える材料を用いることだが、そうした材料を利用した過去の研究では外部照明が必要とされていた。
今回、Arri Priimagiたちの研究グループは、光応答性液晶エラストマーと光ファイバーを組み合わせて、外部からの活性化が必要だという課題を克服した。光ファイバーから出た光が目標の物体に当たり、その物体から反射される光によって液晶エラストマーが曲がり、この光応答性材料の屈曲により、どのような形状の微小物体でもつかめるようになるのだ。例えば、この光応答性材料は、その視界に入る(光散乱粒子でできた)「人工昆虫」を捕らえることができる。また、この装置は、その数百倍の質量の物体でもつかむことができ、光を消せば、つかんでいた物体を離してしまう。
この光駆動の自動調節装置は、さまざまな物体を自律的に認識でき、マイクロ知能ロボットへの道を開くかもしれない。
doi:10.1038/ncomms15546
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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