Research Press Release
Burkholderia dolosaが宿主に適応する過程
Nature Genetics
2011年12月15日
嚢胞性繊維症の患者の間で細菌性病原体Burkholderia dolosaが流行したときのB. dolosaの進化の過程を解明するために全ゲノム塩基配列解読が用いられ、このほど、その結果が明らかになった。今回の研究は、臨床疫学研究におけるハイスループット塩基配列解読技術の有用性を示す実例であり、ヒト宿主が病原体に感染する際の病原体ゲノムの進化に関する手がかりをもたらしている。
今回、R Kishonyたちは、1990年代に米国ボストンの1つの病院の嚢胞性繊維症患者の間で起こったB. dolosaの流行について調べた。B. dolosaは、肺炎を引き起こすことがある。Kishonyらは、B. dolosaに感染した14人の嚢胞性繊維症患者から採取したB. dolosaの分離株(16年間にわたって収集された112の分離株)について全ゲノム塩基配列解読を行った。そして、進化解析と疫学解析を行って、これらの患者における細菌伝播のネットワークに関する推論を立て、選択の標的として17個の遺伝子を同定した。Kishonyらは、これらの遺伝子が、B. dolosaの発生病理とヒト宿主への適応で何らかの役割を果たしていると考えている。
doi:10.1038/ng.997
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