Research Press Release
【ゲノミクス】オオムギのゲノムが解明された
Nature
2017年4月27日
オオムギのゲノム塩基配列が解読、解析された結果を報告する論文が、今週掲載される。このゲノム塩基配列情報は、穀物遺伝学と穀物ゲノミクスのためのコミュニティーの情報源として待望の注目すべき情報源であり、育種によるオオムギの改良・改変を目指す研究者にとって極めて重要な情報となる。
オオムギは、初めて栽培された穀物の1つだが、今では主要な穀物の1つとなっており、温帯地域で幅広く栽培されている。ところが、オオムギのゲノムの80%は反復配列とその他の解読の難しい配列が占めている。
今回、Nils Steinたちの研究グループは、ショットガン法による塩基配列決定と染色体規模でスキャフォールド配列を得る新しい方法などを組み合わせて用いることで、質の高い基準ゲノムを作成した。これは、コムギ、ライムギなどが含まれる植物分類群であるコムギ連(Triticeae)の穀物にとって初めての質の高い基準ゲノムだ。Steinたちは、この基準ゲノムを品種改良に活用する可能性を模索しようと、ヨーロッパのオオムギの優良系統(96系統)のコード領域の塩基配列を決定し、比較して、遺伝的多様性の特徴を明らかにし、強い選択の特徴を示す領域を同定した。強い選択は、例えば麦芽用オオムギと飼料用オオムギを生産するためのさまざまな性質を作り出すための品種改良があったことを反映している可能性がある。
doi:10.1038/nature22043
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
遺伝学:ブチハイエナの遺伝的特徴に社会的地位が反映されていたCommunications Biology
-
環境:コロラド川の水の半分以上は農地の灌漑に使用されているCommunications Earth & Environment
-
加齢:老齢マウスに「若々しい」免疫系を取り戻させるNature
-
気候変動:極域の氷融解が世界の基準時刻に影響を及ぼす可能性Nature
-
生態学:温暖化と乾燥によってハチ類の多様性が脅かされているNature
-
機械学習:ベルギービールの風味を高めるNature Communications