【工学】重力の擾乱を測定できる小型デバイス
Nature
2016年3月31日
シリコンで作られた携帯デバイスによって地下道や地下の石油鉱脈を原因とする局所重力のわずかな擾乱を測定でき、このデバイスを低コストで製造できることが記述された論文が掲載される。このデバイスは、地球の潮汐(つまり、太陽と月の引力を原因とする地球の地殻の変形)を測定できるだけの感度を有しており、地球科学、工学、石油・ガス探査、環境モニタリングに応用される。
重力計は、局所的な重力加速度のわずかな変動を測定し、火山学(例えば、噴火までのマグマの蓄積の測定)などの科学に応用され、工業用途と商業用途(土木工学、炭化水素貯留層の検知を含む)がある。そのように応用できる感度を有する技術はいくつかあるが、そのほぼ全てについて高いコスト(10万ドル超)と大質量(8キログラム超)という制約がある。
今回、Giles Hammondたちは、重さ25ミリグラムで15ミリメートル角の正方形のシリコン板から作られる小型重力計を開発した。Hammondたちの技術は、スマートフォンに使用される微小電気機械システム(MEMS)加速度計の製造プロセスに基づいており、この加速度計の大量生産を低コストで行うことができる。このMEMS重力計は、約40マイクロガル/ヘルツ1/2の重力感度を有し、長期安定性は現行のMEMSより優れている。Hammondたちは、この小型重力計を利用して、さまざまな応用、とりわけ、ドローンによる重力マップ調査ができ、飛行機の低空飛行という危険を冒す必要性を減らせると考えている。
doi:10.1038/nature17397
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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