氷河の後退がもたらす気候変動の明確な証拠
Nature Geoscience
2016年12月13日
後退する氷河は10年以上の期間にわたる地域的な気候変動を明瞭に記録しているとの報告が、今週のオンライン版に掲載される。この研究は、現在の縮小しつつある氷河が、世界中の多くの地域で20世紀と21世紀初頭に起きた気候変動の決定的な証拠となっていることを示唆している。
縮小する氷河は、世界中の多くの地域で報告されており、地球温暖化の効果を示すために用いられてきた。しかしながら、気候変動に関する政府間パネルによる最新の報告は、氷河後退のかなりの部分は人類由来の気候変動が原因であることは「あり得る」(少なくとも66%の確率)とだけ結論しており、気候変動に関する他の基準と比較すると比較的弱い起因にとどまっている。
この論文で、Gerard Roeたちは氷河観測をよく解析された局所的な気象学的観測と組み合わせて個々の氷河の変化を評価し、それによって氷河の変化についてより強い結論を得ることができた。彼らは、それから、全球に広く分布した37個の氷河について局所的な気象学的観測とともに氷河の観測を分析し、これらの氷河のうちの36個では後退が気候変動により起きたことは極めてあり得る(少なくとも90%の確率)ことを見つけた。研究チームは、この気候変動の原因は観測のみからは決定することはできないが、観測された氷河の後退が全球に分布し100年の時間スケールで存在すると仮定したら、自然の10年単位の変動とは考えられず、人類起源の温暖化が原因である可能性が最も高いと述べている。
doi:10.1038/ngeo2863
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