Research Press Release
【エネルギー】宇宙に向けて熱を放射する高性能冷却技術
Nature Communications
2016年12月14日
宇宙に向けて熱を放射する放射冷却技術を用いて冷却効果の新記録が生まれたことを報告する論文が、今週掲載される。この冷却装置を用いることで、小さな物体の温度が最大で摂氏42度低下したのだ。この装置は、現在のところ、ビルの空調のような大規模な応用に適していないが、今回の研究がもたらした新知見は、放射冷却によって温度を大幅に低下させられる可能性を実証している。
コンピューターなどさまざまな物体を冷却するために大量のエネルギーが消費されており、エネルギー消費量を削減するための新たなソリューションが必要になっている。有効と思われる方法の1つが放射冷却で、地球大気の透過窓を利用して、特定の周波数の熱を低温で暗い宇宙に放射するという技術だ。今回、Shanhui Fanの研究グループは、周囲温度より摂氏33度以上冷却でき、日照時に摂氏42度という最大冷却を達成する放射冷却装置を作製した。過去の放射冷却の実証研究では、日中の温度低下が摂氏約5度で、夜間の温度低下が摂氏15~20度という結果しか得られていない。
この放射冷却装置が性能の新記録を樹立する上で極めて重要な役割を果たしたのが、大気の透過窓を通して宇宙に向けて熱を放射する高選択性の熱放射装置であることをFanたちは報告している。また、この論文では、周囲温度と比べて最大で摂氏60度冷却できる可能性を示す理論解析結果についても説明されている。
doi:10.1038/ncomms13729
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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