Research Press Release
【量子計算】プログラムの書き換えができる小型量子コンピューター
Nature
2016年8月4日
小型量子コンピューターにおいてプログラムの書き換えができるという特性は実現が難しかったが、その実現を報告する論文が、今週掲載される。このデバイスは、スケールアップして大型の量子コンピューターを構築できる可能性があるが、実証されていない。
量子コンピューターは、特定の問題の解を従来のコンピューターより迅速に導き出せるが、これまでに実証された量子コンピューターシステムの大部分は、限られた数の課題しか実行できず、再構成することが難しかった。このほどShantanu Debnathたちが構築した新しいコンピューターは、わずか5ビットの量子情報(5キュービット)によって作られており、ある程度の数の量子アルゴリズムを実行できることが実証された。これらの量子アルゴリズムの一部は、量子効果を用いて、従来のコンピューターでは数回の演算を必要とする数値計算をワンステップで実行できる。
それぞれのキュービットは、5つのトラップされたイオンに保持されており、レーザーで操作し、ハードウェアを改変せずに再構成できる。Debnathたちは、この量子コンピューターシステムが約98%の精度で基本的な演算を実行できることを報告し、このシステムにキュービットを追加でき、複数のモジュールを接続して計算能力を高めることができるという考えも示している。
doi:10.1038/nature18648
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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