【動物行動】渉禽類の雄と雌はどのように子育てを分担するのか
Nature
2016年11月24日
親としての責任を分担する鳥類は、自分の行動を適応させて、交代で巣の世話をしているが、この行動は種によって大きく異なっていることが明らかになった。この行動は、ほとんどの場合に、24時間周期の明暗サイクルに支配された自然の概日リズムを回避しているが、この交代パターンがそれぞれの種の捕食者回避戦略によるものと考えられる。この研究成果を報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。
今回、Martin Bullaの研究グループは、渉禽類32種の729個の巣から得たデータを解析して20年間にわたるモニタリングを行い、これらの渉禽類がどのようにして自分の日課を同期させて交代で抱卵しているのかを解明した。この交代パターンは、環境条件が類似していても、種によって大きく異なっていた。いずれかの親による1回の抱卵は1~19時間と時間的に大きな幅があったが、近縁種間では類似性が認められた。両親がそれぞれのリズムを同期するやり方は、鳥類が捕食者をかわすやり方と関係があると思われる、とBullaたちは指摘している。捕食者を積極的に襲う鳥類は、1回の抱卵時間が短くなる傾向がある一方、隠蔽擬態によって捕食者を回避する鳥類は、抱卵時間が長く、巣の場所を捕食者に気づかれないようにするのがその理由だと推測されている。
こうした自由生活性の動物において同期した社会リズムに見られる多様性は、実験室の飼育条件下の動物の場合よりはるかに高く、社会的手掛かりの方が概日時計より特定の行動に及ぼす影響が大きいことを明らかにしている。
doi:10.1038/nature20563
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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