シークインの添加がヒトゲノムのナビゲーションを改善する
Nature Methods
2016年8月9日
シークイン(sequin)と呼ばれる、ヒトゲノムの複雑性を模するDNAおよびRNAの人工配列 について、今週のオンライン版に掲載される2編の論文で報告される。その研究がもたらした標準は、特定の疾患と関係する希少な遺伝的変異の検出を改善するのに役立つ可能性がある。
ヒトゲノムは変異、反復、逆位、挿入および欠失の複雑な世界であり、その一部は疾患と関係している。標準解析法がこの複雑性を捉えようとしているが、現在の標準では、結果がどれだけ正確であるか、あるいは解析が見過ごしているものは何かが不明確である場合が多い。
Tim Mercerたちは、ゲノムおよびそれがコードする遺伝子の複雑性を表す人工的なDNAおよびRNAの標準(シークイン)を開発した。研究チームは、従来の方法ではゲノム領域の多くを十分に解析することができず、多くの遺伝子、特に発現レベルの低い遺伝子が検出されていないことを、シークインを利用して明らかにした。既知のRNAまたはDNA配列を有するシークインを実験に加える、すなわち「スパイク(添加)」することにより、ゲノム解析の結果をシークインの結果と比較して、その解析法がどれだけの感度を持ち、何が明確に検出され、どれだけ見落とす可能性があるのかを評価することができる。
研究チームはこのシークインの対照について、理論上、ヒトのゲノムまたはトランスクリプトーム(RNAへ転写される全遺伝子)のあらゆる特徴を表すように設計し、希少な変異が検出される確度を高めるべく解析法を改善することができる可能性を示唆している。
doi:10.1038/nmeth.3957
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