Research Press Release

病気にかかったスタッフを帰宅させても疾病の蔓延は止まらない

Nature Physics

2016年8月2日

Sending sick staff home won’t stop disease spread

疾病の流行時に、健康な人々を感染した人々の後任にすると、社会的ネットワークの基盤となっている構造に起因して、疾病が予測に反してより急速に地域社会全体に広がることが、今週のオンライン版で示唆されている。今回、モデル化と実証的データ分析を組み合わせて、米国における州レベルと全国レベルのインフルエンザの流行パターンが説明されている。

流行時に、感染した教師や医療従事者などの重要な役割を持つ人々を、系統的に健康な後任者に代えるという方策は、感染した労働者は働くことができず、他者に病気をうつすリスクがあるという明快な論理に従っている。しかし、疾病が広がるダイナミクスを理解するための標準的なモデルは、こうした健康な後任者が、後任となる以前よりも危険な状況にさらされるという事実を組み込むことができない。Samuel Scarpinoたちは、このリスクの増大を明確にエンコードしてネットワークモデルに組み込み、関係的交換と名付けたこの交代策によって、流行のピークに達した病気が流行の開始時の予測よりも速いスピードで伝播しうることを示した。

著者たちは、今回のモデルをインフルエンザとデング熱で検証した。この2つの疾病はどちらも季節的影響を受けるが、デング熱はインフルエンザと違って、伝染と反応の間に遅延があるという特徴があり、関係的交換の影響をより受けにくいと予想される。著者たちは、今回のモデルが米国における17回の全国レベルのインフルエンザの大流行のデータ、州レベルの25年間のインフルエンザデータ、プエルトリコから得られた19年間のデングウイルスデータと一致していることを示した。今回の知見よって、大流行時の公衆衛生政策決定への情報提供が改善されると思われる。

doi:10.1038/nphys3832

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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