【化石】琥珀に保存された古代鳥の翼
Nature Communications
2016年6月29日
ビルマ琥珀の中で化石化した2つの9900万年前の鳥の翼について説明する論文が、今週掲載される。これらの化石には、白亜紀(約1億4550万年~6550万年前)の毛包と羽毛配列の初めての実例が含まれており、古代鳥類の幼鳥の翼の発達に関する貴重な手掛かりとなっている。
これまでの白亜紀の鳥類の翼と羽衣に関する知識は、二次元化石(炭素質圧縮化石)と琥珀中に保存された羽毛がもたらしたものだった。これらの化石は貴重だが、今回の論文で説明されている三次元化石標本ほどの情報が含まれていない。
今回、Lida Xing、Ryan McKellarたちの研究チームは、約9900万年前のものと年代決定されているミャンマーのカチン州の遺跡で、2点の化石標本を発見し、シンクロトロンX線マイクロCTスキャンなどの手法を用いて、これらの化石に含まれる骨と羽毛の構造と配列を調べた。そして、この翼は、他の化石種との比較から、エナンティオルニス類(白亜紀末期に絶滅した鳥類系統)のものであることが示唆されている。Xingたちは、この化石の翼が小型で、骨の発達が不完全であることを根拠に、幼若期に死んだ個体の化石だと考えている。ただし、羽毛が高度に発達していることから、孵化時に比較的成熟している早成性鳥類の個体であったことが示唆されている。
Xingたちは、この翼の化石の羽衣が全般的に現生鳥類の羽衣に非常によく似ており、その上、大部分の羽毛の種類が同じで、配列、色素沈着と微細構造が類似していることを指摘している。
doi:10.1038/ncomms12089
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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