【遺伝】学校での履修科目の選択に遺伝要因が影響しているかもしれない
Scientific Reports
2016年6月16日
英国の16歳の学生が選択する履修科目に遺伝要因の影響が見られるとする研究結果を報告する論文が、今週掲載される。イングランドとウェールズでは、16歳の学生が、大学教育の前提条件となっている一般教育証明書(General Certificate of Education)のAレベル課程(2年課程)を選択できるようになっているが、今回の研究では、このAレベル課程の受講という選択と履修科目の選択内容に遺伝要因の影響が及んでいる可能性が示唆されている。
Aレベル課程で勉強することを決めた学生は、履修科目を80以上の科目の中から自由に選ぶことができる。しかし、Aレベル課程を選択する学生と選択しない学生が生じる原因、そして、そうした意思決定に影響を及ぼす要因については、ほとんど解明されていない。
Kaili Rimfeldたちは、学生によるAレベル課程の選択と履修科目の選択、そして、その後の学業成績が、遺伝的影響や環境的影響によってどの程度説明できるのかを調べた。今回の研究では、英国の双生児の代表サンプル(6,584組)に含まれる一卵性双生児と二卵生双生児の比較が行われ、履修科目の選択については、52~80%に遺伝要因の影響が認められ、18~23%に環境の影響が認められた。また、Aレベル課程を選択することに対する遺伝要因の影響(44%)と共有環境要因の影響(47%)は、ほぼ同程度であることも明らかになった。Rimfeldたちは、Aレベル課程における履修科目の選択内容が、それまでの学業成績(遺伝的影響を一部受けている)に一部基づいている可能性があるという考えを示している。
doi:10.1038/srep26373
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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