Research Press Release
抗マラリア薬耐性に関連する遺伝的多型の探索
Nature Genetics
2010年2月1日
マラリアを引き起こす熱帯熱マラリア原虫について、抗マラリア薬耐性に関連する遺伝的多型が同定されたことを報告する論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。今回の研究で、熱帯熱マラリア原虫のゲノムと抗マラリア薬の作用機構を調べるための重要な遺伝学的ツールが示された。
世界では、毎年、3億~5億人がマラリアに罹患し、約100万人が命を落としている。マラリアの原因はプラスモディウム属原虫で、ハマダラカによって伝播する。4種のプラスモディウム属原虫のうち、熱帯熱マラリア原虫が最も致命的である。ほとんどのマラリア流行地域では、熱帯熱マラリア原虫の抗マラリア薬耐性のために効果的な薬剤が失われており、既知の抗マラリア薬全部に耐性を示す熱帯熱マラリア原虫系統についての報告もある。
これまで、抗マラリア薬に関連する遺伝的多型を同定するためのゲノムワイド関連解析は、いくつかの技術的問題によって妨げられてきた。このほどX-z Suらは、アジア、アフリカ、米国、パプアニューギニアで単離された185種の熱帯熱マラリア原虫系統について、7種の抗マラリア薬に対する応答を測定した。その結果、Suらは、抗マラリア薬耐性に関連する候補遺伝子をいくつか同定したが、これらの遺伝子が薬物耐性にどのような寄与をするのかを解明するにはさらなる研究が必要となる。
doi:10.1038/ng.528
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
化石:最も古く知られている「爬虫類」の足跡Nature
-
惑星科学:月内部の非対称性を示す証拠Nature
-
古生物学:「シカゴ」始祖鳥が、この古代鳥に新たな知見をもたらすNature
-
理論物理学:二体問題を解くNature
-
がん:乳がん治療薬の臨床試験で生存率の向上が示されたものの、がんの消失は限定的であったNature Communications
-
Nature Scientist at Work コンペティションの受賞者の発表Nature