温暖化の影響でワイン用ブドウが日照りを受けずに収穫されている
Nature Climate Change
2016年3月22日
日照りと気温の関係は、これまでフランスのワイン用ブドウの収穫期を決める上で極めて重要だったが、その重要性が最近の数十年間に気候変動のために低下したことを報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。今回の研究では、温暖化が強化されたため、日照りがなくてもフランスでのワイン用ブドウの収穫の前倒しに必要な高温状態が生じていることが明らかになった。この結果は、ブドウ園の管理とワインの質に大いに関係してくる可能性がある。
ワイン用ブドウの成熟は、気温の上昇によって加速し、降水量の増加によって遅れる傾向がある。質の高いフランスワインは、通常、ブドウの収穫期が早い。
今回、Benjamin CookとElizabeth Wolkovichは、過去の収穫データと気候データを用いて、1600~2007年において春と夏の気温が高くなるとフランスとスイスでブドウが早く収穫され、降水量が多いと収穫期が遅くなったことを明らかにした。その一方で、これまで西ヨーロッパでのブドウの成熟に必要な夏季の高温状態をもたらす上で必要だった収穫期と日照りとの関係が1980年以降途切れてしまったことも明らかになった。今や人為的な温室効果ガスの排出による温暖化の強化によって日照り状態なしに猛暑の発生頻度が高まっている。さらにCookたちは、過去100年間のボルドー地方とバーガンディー地方のビンテージワインの品質評価を用いて、ワインの品質と日照りの関連性が1980年以降弱まったことを明らかにした。
doi:10.1038/nclimate2960
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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