Research Press Release

ほとんど知られていないある病気が、麻疹に匹敵する死者を出している恐れがある

Nature Microbiology

2016年1月11日

世界の類鼻疽による被害は実際より大幅に低く見積もられており、類鼻疽が存在する国はこれまで考えられていたよりもずっと多いとの報告が寄せられている。類鼻疽は強力な病原性を持つ類鼻疽菌burkholderia pseudomalleiが引き起こす病気で、世界の年間死亡数は麻疹と同程度で、デング感染よりもはるかに多い。

類鼻疽菌はもともと幅広い抗生物質に耐性を持ち、東南アジアやオーストラリア北部の土壌中に広く見られるが、非流行地域へも感染動物の輸入によって広がる恐れがある。また、類鼻疽は診断が難しいため、類鼻疽菌の世界的な分布状況や類鼻疽が世界に与える影響の評価も難しかった。

今回Direk Limmathurotsakulたちは、記録されている類鼻疽の症例(ヒト、動物)と1910年から2014年までに公表された環境中の類鼻疽菌に関する報告とを地図に表し、すでに報告のある45か国での類鼻疽の報告は実際よりも非常に少なく、さらにそれ以外の34か国でも、これまで症例の報告は全くなかったが現在は類鼻疽が存在すると推定した。Limmathurotsakulたちは、世界のヒト類鼻疽は毎年165,000例で、死に至るのはそのうち89,000例と推定している。これらの結果がはっきり示すように、世界の保健機関や政策担当者はこの病気をもっと重視する必要があるとLimmathurotsakulたちは考えている。

doi:10.1038/nmicrobiol.2015.8

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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