Research Press Release
わずか4分子で超伝導
Nature Nanotechnology
2010年3月29日
Nature Nanotechnology(電子版)によると、わずか4分子からなるナノワイヤーが超伝導になりうる。この研究結果は、超伝導と超伝導材料の理解を深めるのに役立つ。
超電導体を特定温度未満に冷却すると、エネルギーを熱として失うことなく、電気を流すことができる。長い超伝導ワイヤーを作製しようとしている研究者がいるのはこのためである。しかし、超伝導材料に関して多くの知見を得ようと、小さな超伝導構造体の作製を試みる研究者もいる。
S-W Hlaらは、銀表面上に有機電荷移動塩分子を蒸着し、走査トンネル分光法という技術を用いて、表面に形成された分子のアイランドと鎖を調べた。Hlaらは、絶対零度から10度以内の範囲の温度において、超伝導の典型的な特徴である超伝導ギャップが存在する証拠を見いだした。超伝導ギャップのサイズは鎖の長さに依存しており、ギャップはわずか4分子からなるワイヤーでも検出できた。
doi:10.1038/nnano.2010.41
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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